今回は和歌山市のすぐ南に位置する海南市を訪れました。 ~海南市~ 今回は和歌山市のすぐ南に位置する海南市を訪れました。 海南市は、平成17年4月1日に旧海南市と旧下津町が合併して誕生した人口約6万人の市で、北は和歌山市・紀の川市、東は紀美野町、南は有田市・有田川町に隣接し、西は紀伊水道に面しています。 年間平均気温が16度と四季を通し温暖な気候に恵まれていることから、南部ではみかんやびわの栽培、北部では桃の栽培が盛んです。特にびわや本貯蔵みかんは下津町地区の名産品で全国的に知られています。紀伊水道を臨む沿岸部では、しらすやハモ、わかめなどの海の幸にも恵まれています。また、黒江地区周辺は日本4大漆器の一つである「紀州漆器」の産地として知られ、経済産業大臣から伝統工芸品の指定を受けています。さらに日用家庭用品の出荷も全国的に高いシェアを誇ります。 まず、紀州漆器で有名な「尾崎漆器店」さんに訪問いたしました。 食品ではありませんが、全国的にも有名な紀州漆器の老舗という事で足を運ばせて頂きました。お話をお聞かせいただいたのは、尾崎林太郎社長です。今では会社の運営に関しては息子さんに任せているとおっしゃっていましたが、ご自身も完全に退くのではなく、少しでも会社のプラスになるようにという事で日々精力的に活動されています。 まず驚いたのは会社の事務所としても使われている建物の重厚感と存在感。聞くところによると尾崎家の主屋、座敷、蔵2件の計4件は登録有形文化財として文化財登録原簿に登録されているという事です。登録有形文化財とは文化財登録制度に基づいて指定された文化財ですが、この制度は急激に消滅しつつある近代建造物の保護のため、国レベルで重要なものを厳選する重要文化財指定制度を補うものとして創設されました。和歌山県では2009年12月1日現在、142件の建造物が登録されています。私は実際に武士として由緒ある家柄であったという尾崎家の座敷や庭などを拝見させていただき、代々伝わるという古文書や兜や鎧などの武具、また天井に槍が数本掛けられている槍の間など代々伝わってきた尾崎家の歴史やルーツをお聞かせ頂きました。 明治時代に廃藩置県で武士を廃業してからの尾崎家は地場産業の漆器業を営みだしたのですが、紀州漆器は和歌山県に伝わる伝統工芸品の一つで、会津漆器、輪島塗・山中漆器などとともに全国三大産地として知られています。主な産地は海南市黒江と岩出市根来であり、元々は根来に漆塗りの技術が伝わりましたが、後に根来の職人たちが黒江湊に移住したのがきっかけで、今日では海南市黒江が主産地となっています。以前は黒江の町の人々のほとんどが漆器を家業としており、戦前は約1500軒ほどの方が漆器業に携わっていました。それぞれが分業制となっていて渕木屋、板屋、木地屋、絵の具屋、下地屋、うるし屋など分業にする事で大量生産に適した形となり、現在でもその形態は続いているといいます。ただ産地の規模は昔と比べて縮小傾向にあり、景気の低迷もあり産業自体はなかなか厳しいといいます。しかし、紀州漆器の良さを一人でも多くに方に感じていただき、また新しい時代の流れにあった新商品の開発を続けていきたいと強くおっしゃっていただきました。今でも毎年11月に漆器市としては西日本随一の規模と観光客動員数を誇る『紀州漆器まつり』が行われ、2日間で全国から5万~7万人が訪れる一大イベントとなっているように漆器産業として規模は小さくなったといえども、和歌山の産業として無くてはならない存在である事を感じました。 次に訪れたのは、紀州の特産として日本一の生産量を誇る棕櫚製品と山椒商品を販売されている「しゅろやさんしょや」さん。しゅろやさんしょやの店舗も尾崎漆器と同様に登録有形文化財として登録されています。その由緒ある店内にて現在の事業を5年ほど前から引き継いだ土田高史さんにお話を伺いました。 しゅろやさんしょやの看板商品の一つである棕櫚製品。棕櫚とはヤシ科の常緑高木で、その木から剥いだ樹皮から作られる縄、ほうき、たわしなどを販売しています。海南市は日用家庭品の生産で日本一を誇っていますが、その起源は野上谷で栽培されていた棕櫚を原料とした製品でした。野上谷は海南市東部から紀美野町にかけての谷あいの地域で、明治の初めに本格的な棕櫚縄作りをはじめました。野上谷の棕櫚製品は全国で評判を呼び棕櫚産業は大いに発展しました。しゅろやさんしょやは明治13年創業の老舗中の老舗。創業当時から棕櫚と山椒の取り扱いをおこなっていました。ただ、棕櫚製品に関しては値段が合わないという事で取り扱っていなかった時期もあり、時代の流れとともに海南市の日用品産業がプラスチックや化学繊維製品にシフトしていきました。しかし土田さんが中心となって「海南市の棕櫚産業を途絶えさせてはいけない」と立ち上がり、4年ほど前から再び棕櫚製品の取り扱いをはじめました。今では和歌山を代表する伝統工芸品という事でその商品のクオリティの高さが一部から支持されて販売も好調だといいます。 また、しゅろやさんしょやのもう一つの商品が紀州山椒です。意外と知られてはいませんが和歌山県は山椒の生産では全国シェア8割を誇る日本一の産地です。紀州の山椒は実が大きく、ほのかに柑橘系の上品な香りがするのが特徴です。辛味も強く舌がしびれるほどで、実が房なりになることからぶどう山椒と呼ばれています。しゅろやさんしょやはその山椒を機械に頼らず丁寧に石臼で挽いていきます。手間はかかりますが、風味や味が全く違います。「山椒を使った新しい商品を開発中です。山椒をもっともっと世界に広めて世界のブランドにしたい。山椒は世界に誇る日本オリジナルの香辛料なんです。」とすでに土田さんの目は世界に向いていました。「棕櫚も山椒もうちだけが良くても駄目、地域の産業全体をみんなで盛り上げていかないと。」という思いから地元和歌山への愛情がひしひしと伝わってきました。次の世代につながる地域の産業にしたいという棕櫚や紀州山椒。土田さんのあくなき挑戦は現在も継続中です。私は頂いた山椒をおすすめしていただいた湯豆腐の中に入れて食べてみました。初めての体験だったのですが、なんとも爽やかな山椒の香りが口いっぱいに広がるではないですか。焼鳥やうなぎの蒲焼きにふりかけて食べるのはよく見る光景で美味しいのは分かっていますが、湯豆腐などの鍋物全般にもとても良く合います。是非一度お試しください。 最後に海南市下津町にあるパン工房ピノキオさんにお伺いしました。町のパン屋さんといった昔ながらのどこか懐かしい店内で、最近NHKの番組で放映されてから注文が殺到しているというお忙しい合間をぬって石倉秀雄社長はご対応してくださいました。石倉さんは創業当時から無添加・天然野生酵母にこだわりを持ちながら、パン業界がいままで為し得なかった技術の結晶『発酵済み冷凍パン生地「ピノパン」』を今から約3年半前に開発しました。開発まで20数年の歳月をかけてようやくたどり着いたといいます。今では解凍も不要で、冷凍庫から取り出してそのままオーブンで焼く「NEWピノパン」にまで進化を遂げ、さらに商品のレベルはどんどん上がっています。 石倉さんが現在の事業をはじめたのが約30年ほど前。元々は病に倒れた父の後を継ぎ、農薬・建材販売の仕事をしていましたが、仕事で使う農薬が食品に大量に使われるのを目の当たりにして、もっと健康にいいもの、体に優しい食品を作りたいという衝動にかられます。ある時、八百屋の前に積まれているばんじゅう(パンを入れる箱)が日が経つごとに増えていくのを目の当たりにして、これは需要があるのではないかと考えてパン屋になろうと決意したといいます。しかし、元々パンなど作った事がない素人がはじめるわけですから試行錯誤と失敗の連続でした。そんな時、父が他界し、それを機に昭和58年(有)下津フードサービスを設立し「パン屋」を始めました。ここが「夢」のスタート「パン職人」の原点であったといいます。この会社では妹夫婦と共に頑張り、新たな商品開発・技術開発を行いつつパン職人の腕にも磨きをかけ、和歌山市で2店舗、6台の移動販売車を持つまでに成長しましたが、今度は母が病に倒れました。母の介護を行うためこの会社は妹夫婦に任せ、母のいる下津町の実家を改装し、新たに平成11年現在の会社(株)ブーランジュリーピノキオを設立しました。現在では車は1台ですが、ピノパンを開発した事により通信販売が飛躍的に伸び、販売させてほしいという依頼は世界中から来るといいます。 ちなみに石倉さんが作るパンは純国産100%の小麦を使用し、酵母は天然酵母「白神酵母」というこだわりようで、水のかわりにみかんジュースをこねたパンやみかん蜂蜜で作ったパンなど和歌山県産の素材を活かしたアイデア溢れるパンも多く生み出しています。そんな中で長年の歳月をかけて開発されたピノパンは今まさに大きな反響を呼び、1大ムーブメントを呼びおこす勢いです。 「将来的には大きな工場を建てて、地元の雇用を捻出して若い人の県外への流出を食い止めたい」と語る石倉さん。地元を愛し、地元を何としても活性化したいという石倉さんの努力とアイデアで必ずや実現できそうな気がしました。 今回食させていただいたのはもちろんピノパン。NEWクロワッサンリボンを頂きました。何といっても解凍不要で直接レンジにかけられるのが手間要らずです。また家庭で焼きたてのクロワッサンなんて贅沢な気分。味もサックサクでホント美味しいです。オーブンで焼くと、家中に焼きたてパンの香りが広がって、朝から幸せな気分になりました。また購入したいと思います。

尾崎漆器店
| 住所 / | 〒642-0011 和歌山県海南市黒江 598 |
|---|---|
| TEL / | 073-482-3311 |
| URL / | http://shop.wakayamaken.jp/ osaki/ |
しゅろやさんしょや
| 住所 / | 〒642-0024 和歌山県海南市阪井 679 |
|---|---|
| TEL / | 073-487-0001 |
| URL / | http://shop.wakayamaken.jp/ shuroyasanshoya/ |
パン工房ピノキオ
| 住所 / | 〒649-0122 和歌山県海南市下津町黒田 84-5 |
|---|---|
| TEL / | 073-492-4160 |
| URL / | http://shop.wakayamaken.jp/ pinokio/ |

尾崎漆器店

陶器で出来たかわいい熊ちゃんのお箸置きです。
5個1セットで小箱に入れてお届けします。
3名様にプレゼント
しゅろやさんしょや

山椒は日本固有の香辛料です。「紀州香山椒」は山椒の中でも粒が大きく、香りと辛味の強い紀州産のブドウ山椒を100%使用し、摩擦熱による香りの劣化を防ぐため、石臼でていねいに挽きました。柑橘系の香りとしびれる刺激が鍋物や肉・魚の料理をひきたてます。
5名様にプレゼント
パン工房ピノキオ

世界初!発酵済み冷凍パン生地のお店ピノキオから冷凍庫から出してすぐ焼ける、すぐ食べれる冷凍パン生地3種類×4個入りのセットをお届けします。厳選した国産小麦を使用した体にも優しい一品で ご家庭で焼きたてクロワッサンやメロンパンが味わえます。
5名様にプレゼント
